若草山焼きの開催日の変化

今年(2011年)の若草山焼きは1月22日(土)です。18:00から花火が上がり、18:15に若草山焼きが開始され、19:00に山焼きは終了の見込みです。枯れ草の乾燥度合いによって多少燃えている時間が変化します。

太平洋戦争後、若草山焼きは長らく「成人の日」の1月15日(祝)に行われていました。しかし2000年に3連休を作るための「国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律」(ハッピーマンデー制度)が施行され、成人の日が1月の第2月曜日になりますと、若草山焼きは3連休の中日、つまり成人の日の前日に行われるようになりました。2000年から2008年の山焼き実施日は、順に1月の9、7、13、12、11、9、8、7、13日でした。

この3連休の中日の若草山焼きは2008年まで行われ、その後日程の見直しがなされました。開催期日が若干分かりづらい、日にちが以前より前倒し気味になり草の乾燥度が今一つで燃えが良くない、カレンダーによっては山焼きをする奈良市消防団の人々が出初め式日程と調整が難しいとの理由からの見直しです。ちなみに奈良市消防団の出初め式は例年ほぼ1月8日に行われています。

見直しの結果、2009年からは1月の第4土曜日となっていますが、正式には毎年関係者の相談によって決めるということだそうです。そのため、ここしばらくは毎年若草山焼きの実施日を奈良市観光協会に確認するのが良いでしょう。

花火の増加

若草山山焼きの前に打ち上げられる花火は、平城京遷都1300祭の昨年(2010年)600発でした。例年は200発前後と言われています。しかし私が初めて若草山焼きを観た何十年か前は、数発ないし十数発だったように記憶します。

山焼き開始の合図に近かった数発の花火が、花火そのものを楽しむように変化してきたように感じます。

冬の花火は空気が乾いていてとても綺麗に観えますし、冷気の中で非常に迫力のある澄んだ音が聞こえます。打ち上げ花火の数が増えて冬の花火の魅力を堪能できるようになったのは良いことだと思います。

一方で、花火が終わった後に点火される主役の山焼きは、火の不思議な力を実感することができます。千変万化して若草山全山に燃え移っていく火。火を見ていると人間はいろいろなことを考えるのではないでしょうか。自然に燃える火の魅力が、花火の数の増加によって減じることのないように私は願っています。

若草山焼きの起源の訂正要請

若草山山焼きの起源についてはいろいろな説があります。奈良市観光協会の現在のホームページに掲載されている説を簡略化して紹介しますと、

@若草山頂にある鶯塚古墳の霊魂を鎮めるための、樵(きこり)の祭礼。

A若草山を年内もしくは翌年の1月頃までに焼かなければ、翌年に何か不祥事件が起こると考えられていた。

B若草山一帯をめぐる春日大社・興福寺と東大寺の領地争いがもとである

C春の芽生えを良くするための原始的な野焼きが伝わったもの。

の4つです。

一般にはBが概ね信じられていたように思いますが、2007年12月に春日大社・興福寺・東大寺の三社寺が奈良県にBは「古文書に記述がなく間違い」と訂正を申し入れました。その時のニュースでは、三社寺はAの説を主張していたようです。しかし、現在の奈良市観光協会のホームページでは三社寺の説として@を紹介しています。

年中行事の起源さえ変化していくということに私は驚きました。間違いならば訂正されてしかるべきですが、起源が何か綺麗事に書き換えられて行っているような気がして素直に納得できないのです。今後詳しく調べてみようと思っています。

それにしても、年中行事の若草山焼きの開催日・花火の数・行事の起源などが次々と変化していくのをみると、「年中行事も年々歳々同じからず」と強く思うのです。