① 修二会

修二会(しゅにえ)とは、もともと旧暦の二月に行われていた法要のことで、奈良では東大寺二月堂、薬師寺そして新薬師寺の3つの寺の修二会が有名です。

どちらの寺も今は新暦の3月ないし4月に修二会の法要が行われ、堂のすぐ傍で松明などが燃やされて火の粉が飛び散ります。

② 東大寺二月堂の修二会

東大寺二月堂の修二会は別名「お水取り」と呼ばれ、日本全国によく知られています。大きな「籠松明」が点される3月12日などの二月堂周辺は大変な人混みで、特別な入場許可証がないと二月堂の近くへも行けません。

舞台造りの二月堂から火の粉を撒き散らす「おたいまつ」は3月1日から14日まで毎夜ありますので、「おたいまつ」を経験したい人は一般入場ができる1日から11日に行くのが良いでしょう。

二月堂の修二会は「おたいまつ」が有名ですが、法要の主な行事は、12日の深夜、より正確には13日に入った真夜中に行われる、近くの閼伽井(若狭井)という井戸から水を汲んで本尊の十一面観音に供えることです。そのため「お水取り」という別名がつけられています。

なお、お水取りの水は東大寺の祈りの言葉の中で「甘露の浄水」と言われ、仏の教えを意味していると理解できます。

③ 薬師寺の修二会

奈良・西ノ京にある薬師寺の修二会の別称は「花会式(はなえしき)」です。

本尊の薬師三尊を、梅、桃、桜、椿、山吹、牡丹、百合、杜若(かきつばた)、藤、菊、の10種類の造り花で飾るところからそう呼ばれるようになりました。

修二会の法要が行われる3月25日から31日の間、金堂内にて法要に参列することが可能です。法要で読経の掛け声がだんだんと高くなっていき、最後に絶叫と思うほどになるのは迫力があります。

また、最終日の3月31日の夜には、金堂の前に特別に設置された舞台の上で松明を持った鬼が暴れまわり、やがて毘沙門天に鎮められる「鬼追式(おにおいしき)」という行事が行われます。

④ 新薬師寺の修二会

奈良市高畑町にある新薬師寺は、その名から西ノ京の薬師寺の新しいものですか、とよく聞かれるのですが、そうではありません。

奈良時代に光明皇后が夫の聖武天皇の病気平癒を祈って建てた寺と言われています。本尊はそのため薬師如来坐像で、本尊を守るように武器を持った塑像の12神将が円形に周りを固めています。

新薬師寺の修二会は薬師如来の縁日である4月8日に1日だけ行われます。

ここの「おたいまつ」は本堂の周りを静かに回りますので、二月堂や薬師寺のように激しい動きはありません。

しかし時には松明を回して火の粉が飛び散ることがあります。最も間近に「おたいまつ」が観られる修二会です。